【ワンピース】8歳の大人にされたモモの助、自分のために泣くしのぶ！

しばしば残酷な表現が採用されるワンピース。

今回はその中から、作中でトップクラスに残酷な状況に突き落とされてしまったモモの助について触れていこう。

笑うことしかできなくなったSMILE患者たちよりも、WCI編のサンジよりもこれはもっと酷くて絶望的な要素にまみれているようにバトワンには見えてしまうかな…！

8歳の大人にされたモモの助、自分のために泣くしのぶ！

まず最初にチェックしたいのは以下のカット。

これはしのぶの“ジュクジュクの能力”によって大人になったモモの助が龍へと変身した姿だ。

このシーンだけを見ればとても頼もしく、そして力強く感じる描写だよね。

色使いなどに関してももはや“神々しさ”すら感じるし、このモモの助こそがワノ国の守護神であるべきとすら感じさせるシーンだと思う。

しかし、今回の絶望はその裏側に潜んでいて。

ワンピース1022話より引用　モモの助こそがワノ国の守護神であるべきとすら感じさせるシーン

ここで思い返してほしいのは、モモの助の年齢が本来は8才であるということだ。

この8才の子供が、外部から加えられた力によってなんと28才にされてしまったんだよね。これがどういうことか。

仮に“8才の子供が一瞬にして9才にされた”と仮定すると、これはよりわかりやすいかもしれない。

そう、その子は「9才なのにも関わらず8才の経験しか持たない（するべき経験が1年も少ない）」という状態なんだよね。

現代社会に置き換えるとわかるように、これはたった1年でもこれはとてつもなく大きいことだ。

で、にも関わらず。今回のモモの助はなんと8才→28才。

つまり「20年分の経験ができないまま、身体だけが大人になってしまった」ということ。

人生における人格形成にもっとも大事な時期。

友達とふれあい、喧嘩したり、あちこち遊びにいってみたり。

夢を追いかけ、挫折して。失った夢の切れ端をつなぎ合わせて、ボロボロになりながらも新しい夢を目指したり。

異性と恋をしたり、失恋したり、時間をかけて立ち直ったり。そしてその傷を経て、次に出会った誰かをもっと大切にすることができるようになったり。

その経験がないんだ、モモの助は。

「経験が少ない」…みたいな生ぬるいものではなく、完全なゼロ。

まったくの無。無。無なんだよね。そして当人はそれがいかに恐ろしいことであるか気付いていない。なんせ彼は8才だ。

このことを念頭におくと、しのぶのしてしまったことは取り返しのつかないことであることがわかると思う。

自分のために泣くしのぶ！

そしてさらに輪をかけて悲しいのは、この危険性を理解した大人が近くにいなかったことだ。

以下のカットを見てもわかるけど、しのぶのリアクションはどうだろう？

わんわん泣いていかにも悲劇っぽく振る舞ってるけど、これは誰のために流した涙なのか。

モモの助から8〜28才までの20年間を奪ってしまったことに対する自責の念による涙ではないんだよね。

彼女がみているのは、モモの助の向こうにあるおでんの姿だ。

ワンピース1022話より引用　自分のために泣くしのぶ！

同じ「泣いている」という状況でも、誰のために泣くかによって意味は全く変わってくる。

ここでのしのぶは、自分の中にこみ上げてきた「おでんの記憶」によって涙を流しているんだ。

現時点でそこには「モモの助のため」とか「自分の力不足で」とか、そういう感情は存在しない。

しのぶの中には「おでん様にそっくり！うわ〜〜ん！！」か、限界までポジティブに捉えたとしても「モモの助さま、立派になられて！」程度のものまでしか描かれていない状況。

そして後者で受け止めたとしてもなお、しのぶは「8〜28才の喪失」の重要性を理解していないことになる。

彼女の能力は“ジュクジュクの実”であり、時間は前にしか流れない。

そのことを踏まえると、現時点ではモモの助をもとに戻す確証がない状態であることも明らかだ。

これらのことを総合して考慮していくと、絶望は以下の3つ。

子供が間違えた方向に進もうとするとき、それを止めるのは大人の役目だ。

しかし今回のしのぶの振る舞いはどうだっただろうか？

子供は素直で、周りにいる大人によって幸せにも不幸にもなってしまうもの。

あの場面において、もっともその責任があったしのぶがとった行動は、大人としてふさわしいものだったのか。

さて、これからモモの助は「8才の知能・経験しかない28才」として未来へ進んでいかないといけないわけだけど、うーん。どうだろうね。

バトワンとしてはなんとか戻す方法を考慮してあげたいところだけど、今のところそんなやり方は一切見当たらない。（トキトキの実でも難しそうだ）

唯一の希望としては、たまたま来ているCP0がベガパンクの発明品で「能力解除する薬」を持っている…みたいな展開だけど、これも強引感が凄まじい。

善悪の判断ができる大人が近くに存在しないということ、それによって取り返しのつかないことになる子供の未来。

いずれにしてもモモの助に起こった悲劇は、子供が背負うには重すぎる内容なので、なんとかもとに戻してあげてほしいところだよね。

今はまだ救える要素が見当たらないけれども、なんとかこの状況から救われるよう祈りたいところだ…！